FXは通貨ペアにこだわる。正しく選ぶための4つのポイント
FXを始めるにあたり、通貨ペアを選ぶことが最初にする作業ですが、通貨ペアを毎回同じにする方、相場の状況によって変える方など人それぞれでしょう。また人によってトレードの相性の良い通貨ペアがあるということもよく耳にします。こうした通貨ペア選びについてどのような考えで選ぶといいのでしょうか。
FXで通貨ペアは決めている?
FXで通貨ペアを固定している人は、かなり多いかもしれません。私自身も通貨ペアは米ドル円の一択でトレードしています。最初に通貨ペアの概要など基本的な内容をご紹介します。
通貨ペアとは
通貨ペアは株式投資の場合の銘柄のようなもので、売買する外貨の組み合わせのことです。FXは「外貨を安い値段の時に買って、その後の高い値段の時に売る」、「外貨を高い値段の時に売って、その後の安い値段の時に買い戻す」の2つのパターンで差益を稼ぐ取引が特徴となっています。
通貨ペアとして米ドル円を選んだ場合ですと、「買い注文」は「日本円を売って、米ドルを買う」という最初の注文、その後に米ドルが日本円に対して値上がりした時点で「米ドルを売って、日本円を買い戻す」という決済注文が受け入れられた時点で利益となります。逆に米ドルが最初の注文より値下がりした状態で決済注文を出し、それが受け入れられた時点で損失となります。
「売り注文」は「米ドルを売って、日本円を買う」という最初の注文、その後に米ドルが日本円に対して値下がりした時点で「日本円を売って、米ドルを買い戻す」という決済注文が受け入れられた時点で利益となります。逆に米ドルが最初の注文より値上がりした状態で決済注文を出し、それが受け入れられた時点で損失となります。
各国の通貨の特徴
国際通貨としてよく知られているのは次の4つの通貨でしょう。
この他にオーストラリアドルなどオセアニア通貨や、新興国通貨といって経済発展が著しい東南アジアの国、トルコや南アフリカの他、ブラジルなど南米の通貨がありますが、それらは米ドルをはじめとした主要通貨の値動きの影響を受けることが多いので、まずは主要通貨の特徴を知っておくといいでしょう。
米ドルの特徴
現在の世界の基軸通貨。国際取引の決済の殆どが米ドルを通じて行われる。背景に圧倒的な経済力と軍事力を誇る米国の存在がある。
ユーロの特徴
広大な経済圏をで通用する共通通貨として、米ドルに続く取引量を誇る。外国為替の取引において米ドルとユーロの取引が最も多く、FXにおいても世界全体で見れば値動きの大きさやトレンドの長さからユーロ米ドルの人気が高い。
日本円の特徴
米ドルやユーロほどの取引規模はないものの、世界有数の債権国であり経済規模の大きい日本の通貨として、リスク回避の際には注文が集まる。FXにおいて日本円対外貨の通貨ペアでトレードする人がビギナーを中心に多い。
英ポンドの特徴
米ドル以前は世界の基軸通貨の地位にあり、18世紀から19世紀にかけて「日の沈まない帝国」として栄えた大英帝国の名残から、現在もオーストラリアドルやカナダドルへの影響が大きい通貨として知られる。値動きの大きさや早さから英ポンドを通貨ペアに加えて効率的にトレードする上級者が多い。
通貨ペアの系統を知る
通貨ペアは、あらゆる国際取引の決済通貨として広く浸透している米ドルが含まれている場合を「ドルストレート」といい、それ以外を「クロス通貨」といいます。クロス通貨には日本円クロスの他、ユーロクロスやポンドクロスがあり、いずれも米ドルがクロスする形で内在しているのが特徴です。
・Bクロス通貨=通貨A/通貨B=通貨A/(米ドル)×(米ドル)/通貨B
ドルストレート系列 米ドル日本円、ユーロ米ドル、ポンド米ドル、など
日本円クロス系列 ユーロ日本円、ポンド日本円、豪ドル日本円、など
ユーロクロス系列 ユーロポンド、ユーロ豪ドル、など
ポンドクロス系 ポンド豪ドル、ポンドカナダドル、など
日本ではドルストレート系と日本円クロス系でトレードしている方が殆どだと思います。
FX では通貨ペアを正しく選びたい
FX取引をする際に、通貨ペアとの相性ということを気にする人は少なくありません。
通貨ペアとの相性を考える
日本でトレードする場合、経済や金融に関する情報が入手しやすい外貨と日本円の通貨ペアはトレードしやすいことが多いです。最も情報が入りやすいのが経済的な結びつきが強く、国際取引の決済通貨である米ドルかもしれません。米国の株式市場の情報は毎日入るので、米ドル日本円の通貨ペアの動きは把握や予測がしやすいでしょう。
トレードしたことがない通貨ペアは負けやすい?
人によっては相性の悪い通貨ペアというのはあると思います。特にトレードの時間帯によってヨーロッパ系の通貨と日本円の通貨ペアは難しい動きをすることがあります。
通貨ペアを正しく選ぶための4つのポイント
通貨ペアを正しく選ぶためのポイントをいくつかご紹介します。
通貨取引量で選ぶ
通貨取引量の大きい通貨ペアは小さい通貨ペアの値動きに影響を与えます。取引の多い通貨ペアとして、ユーロ米ドルや米ドル日本円などがよく知られています。
トレード時間帯で選ぶ
24時間取引可能なFXですが、開いている市場は取引時間で違ってきます。開いている市場のある国の通貨を中心に、通貨ペアを選ぶといいでしょう。具体的には東京市場が開いている場合なら日本円、ロンドン市場が開く時間帯なら英ポンド、ニューヨーク市場が開く時間帯なら米ドルを中心に通貨ペアを選ぶと値動きが大きく、トレードチャンスが多いでしょう。
通貨の強弱で選ぶ
値動きの幅が大きいのは、その時間帯で「最も強い通貨」と「最も弱い通貨」の組み合わせです。「最も強い通貨」とは最も買われている通貨で、「最も弱い通貨」は最も売られている通貨のことです。「最も強い通貨」と「最も弱い通貨」の組み合わせは強力なトレンドを生じていることが多く、他の通貨ペアはその影響からレンジ相場になっていることがよくあります。エントリーしてどちらが勝ちやすい相場なのかは明らかですね。
通貨の相関で選ぶ
相関とは相互に与える影響の大きさのことで、その大きさを客観的に把握するために相関係数というものが用いられます。相関係数は+1から-1までの数字をとり、+1に近ければ同じ方向に値動きする傾向が強く、-1に近ければ逆の方向に値動きする傾向が強くなります。相関関係を利用して値動きの予想を立ててトレードすると良い結果となることがあります。
FX で特に難しい通貨ペアはあるのか?
通貨ペアで身近な日本円を軸に選ぶ人が多いですが、そのことがベストな選択かどうかはわかりません。
クロス円の落とし穴
米ドル日本円以外でユーロ日本円やポンド日本円など、一方が日本円となっている通貨ペアを「クロス円」といいます。ユーロ日本円やポンド日本円などは米ドル日本円に比べると取引量が少なく、ユーロや英ポンドが日本円と直接取引されることは少なく、多くの場合は米ドルを介して取引されるという特徴があります。つまり、ユーロ日本円や英ポンド日本円は次のように分解できます。
・ユーロ日本円=ユーロ米ドル×米ドル日本円
・英ポンド日本円=英ポンド米ドル×米ドル日本円
ニューヨーク市場が開くと、ダウなど株価指数に連動してドルの値動きが大きくなることがあります。そうした場合はその影響から ユーロ日本円や英ポンド日本円といった通貨ペアは複雑な値動きをすることがあり、注意が必要です。豪ドル日本円やニュージーランド日本円の通貨ペアも同じ様な特徴があります。
英ポンドは殺人通貨?
英ポンドは大口取引や機関投資家が好んで使う通貨ペアになっていることから、動きがある日は他の通貨ペアにも影響が出る位動きます。ハイリスクハイリターンな取引に巻き込まれることが多く、取引ロットを大きくすると大きな損失を抱えることがあり、別名「殺人通貨」と呼ばれているほど、動きのある時間には取り扱いに注意を要します。
新興国通貨は取引コストに注意
新興国通貨は高金利であることが多く、長期保有することでスワップ金利が貯まるのが魅力と言えます。ただし、取引量そのものが少ないために取引の際に負担する実質コストであるスプレッドが広く、大きく値動きしやすいのでハイリスクハイリターンな面もあり、これらの点には注意が必要でしょう。
FX通貨ペア まとめ
FXはいつでも取引できますが、時間帯によって「よく動く通貨ペア」と「全く動かない通貨ペア」がありますし、「トレンドを形成している通貨ペア」と「レンジとなって狭い価格帯を往復している相場を形成している通貨ペア」があります。トレードで良い結果が出やすいのは「よく動く通貨ペア」で「トレンドを形成している通貨ペア」ということになりますので、通貨ペア選びは多少のこだわりがあった方がいいのかもしれません。